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電気業界を斬る

環境問題を制する企業が市場を制する

馬本英一一九七〇年代半ば、東京西部のマンモス団地に野生児のような少年がいた。一日中遊び続け、勉強には興味がない。一方で少年は、今でいうポスティングのチラシ配りを自ら発案し、一枚一円で請け負うなど、小学校低学年のころから、ビジネスで成功するための嗅覚も持ち合わせていた。少年の才能を見抜いた担任の教師は「君は、お金を数えるため算数だけやればいい」と寛大な目を向けた。

だが、自由に育つ少年も、未来に一抹の不安を抱いていた。夏場、毎日のように鳴り響く「光化学スモッグ警報」。サイレンが「ウゥー」と鳴ると戸外で遊ぶ子供は屋内に避難させられる。

日本テクノの挑戦七〇年代は、高度経済成長の陰で公害問題が進行し、各地で深刻な健康被害をもたらした時代。東京の空も、警報で避難を促すほど大気汚染が進行していた。河川の汚染も深刻で、少年は、川に手を入れるとヘドロで手が溶けてしまうと思っていた。

現在はスモッグ警報も聞かなくなり、川もきれいになった。当時やんちゃな少年だった馬本は、日本テクノという会社を興し、本紙を発行した。彼は、環境を改善してくれた前の世代の人たちに感謝し、その仕事を継ぎ、次世代へつなげたいと考える。少年の生き様と同社の沿革は、先般発行された『日本テクノの挑戦』(鶴蒔靖夫著)が詳細に伝えている。